本校では、心理学への理解を深める機会として、6月12日(金)に順天堂大学の吉武尚美先生をお招きし、「SNS時代における幸福感とつながり方」をテーマに講座を実施しました。
授業は以下の三部構成で進められました。
1. 若者は幸せか?
2. 幸せを定義する
3. 幸せのヒント
はじめに、SNSが社会や経済に大きな影響を与えている現状について、最新のデータをもとに解説がありました。続いて、幸福には「気分の良さ」と「生活満足度」という二つの側面があり、今回の講座では特に「生活満足度」を高める方法に焦点を当てることが示されました。
吉武先生によると、生活満足度を高めることは、心の防衛力を高め、日々のパフォーマンス向上にもつながります。その鍵となるのが、「自律性・有能感・関係性」という『三つのエンジン』です。これらが同時に働くことで、毎日の満足度が更新されていくとのことでした。
講座では、5歳児に絵を描かせる際の「ご褒美の有無」による意欲の変化を調べた実験をとおして、まず「自律性」の重要性を説明。さらに、「夢中」になることが成長を生むこと、昨日の自分より少しでもできたことを言語化する(=有能感)、誰かと一緒に取り組む(=関係性)がそれぞれを育てると話されました。ここまでのまとめとして、先生からは次の三つのアクションが提案されました。
• 今日一つ、「こっちをやりたい」を選んでみる(自律性)
• 昨日の自分より「0.1ミリできたこと」を言葉にする(有能感)
• 誰かと一緒に何かを進めてみる(関係性)
後半では、「SNSは幸せのルーツになりえるのか」をテーマに、ワークシートを用いて考えました。SNSの「楽しい瞬間」と「疲れる瞬間」を整理し、宇佐美りんさんの小説『推し、燃ゆ』を題材に、SNS上の自分との向き合い方を考えました。
SNSは欲求を満たすだけでなく、欲求をさらに強めてしまう側面もあります。そこで吉武先生は、先ほどの「三つのエンジン」をSNSでの人間関係にも応用し、「つながりの主役はデバイスではなく“自分自身”である」という大切な視点を提示されました。
最後に、生徒たちは講義を振り返り、以下の3つの問いについて考えを深め、日常の中で幸福感を育てるヒントを持ち帰りました。
• 自分で選んでみたいこと
• 少し成長したいこと
• 大切にしたい関係と、そのためにできること
💬 参加した生徒の感想(一部抜粋)
• 「SNSとの付き合い方や利用する上での心の持ち方を考え直すことができた。また、生活満足度を高く維持するために大切な要素を知ることができたので、これからの生活で意識していきたい」
• 「人間は何かをやる時に、人が側にいたほうが安心してできる傾向があるというお話が印象に残った。私はすぐに勉強の集中力が切れてしまうので、友達と一緒に取り組んだら集中できるのではないかと思った」
今回の講座は、心理学という学問の奥深さに触れるだけでなく、将来の進路を考える上でも大きな刺激となったようです。素晴らしい授業をしてくださり、個別の質問に30分以上も丁寧にご対応くださった吉武先生に、改めて感謝申し上げます。
進路指導部では、今後も生徒たちのキャリア形成を支援し、知的探究心を揺さぶる企画を継続してまいります。