2015.10.08
~中2 道徳「戦争体験の講演」が行われました(10月3日)~

本学院中学校では,2年生の夏休みの課題として,祖父母などからの幼少時・青年期についての聞き取り調査とレポート作成を行っています。その関連企画として,10月3日(土),道徳の時間を使って,本学院の近隣にお住まいの小野善三郎さん(86歳)に戦後70年を顧みて 戦争下の中学生」と題するご講演を行っていただきました。

 そもそも今回のご講演のきっかけになったのは,本年7月26日付の「朝日新聞」朝刊(千葉版)に掲載された「戦争 祖父母から聞き取り 市川の中学校、歴史学習に生かす」という記事でした。それをご覧になった小野さんが,翌日本校に当時の資料(配給切符や戦時国債,降伏ビラなど)とご自身が書かれた数点の回想録を持っていらっしゃいました。そこから本校と小野さんとの交流が始まりました。資料の借用と返却を何度か繰り返すうちに,「是非とも本校の生徒にご講演を。」という形で話がトントン拍子で進み,今回の企画に至りました。

DSCN3862 CIMG5472 CIMG5471 CIMG5454

 小野さんは,昭和3年(1928),東京市下谷区(現在の東京都台東区)に生まれ育ち,終戦時は旧制中学校の4年生でした。ご講演では,戦時下の学校生活では制服がまるで軍服のようであったこと,英語も禁止されていたこと,習志野や御殿場で都内中学校の合同軍事教練を受けたこと,学徒動員では尾久(現在の荒川区)で機関砲の弾丸を旋盤で作っていたこと,また別の工場ではイタリア人捕虜などとの交流もあったこと,東京大空襲での出来事など,わかりやすく話してくれました。

 当日聴いていた中学2年生は小野さんが戦時下を過ごした時期と年齢も近く,興味深く聴き入っていたようです。当日配付の資料にぎっしりとペンを走らせていました。現在の中学生の祖父母は平均すると終戦時およそ4,5歳で,戦争体験そのものを聞けなかった生徒も少なくありません。そこでこのような生徒が今回の講演を聞いた感想の一部を次に示します。

「夏休みに誰にも戦争の話を聞けなくて,聞けて良かったと思う。聞くともっと聞いてみたいことがたくさんあり,自分が中学生の今,そんなことをできるかと思うと,小野さんはすごいと思った。訓練の時はどのような気持ちでやっていたのか,一番辛かったことは何か,なぜイタリア人とそんなに交流があったのかなど,まだ疑問に思うことはたくさんあるが,これらはまた聞きたいと思った。」

「私の祖父は65歳で戦後に生まれたので,あまり深く戦争について話したり聞いたりできなかったのですが,今回話を聞いて,とても深く戦争について知ることができました。東京大空襲の時に爆撃の時の熱風が熱すぎて,壁に人間の影が残ってしまったというのがとてもびっくりしました。」

 今回貴重なご講演を頂戴した小野さんには,厚く御礼申し上げます。なお本年度の聞き取り調査で実際に戦争体験を聞き取りした生徒については,10月6日付新着情報『朝日新聞(10/1~10/4朝刊)』に平和学習への取り組みが紹介されました。をクリックしてご覧下さい。