2019.02.26
~第7回SGアカデミー:未来講座が開かれました(平成31年2月20日)~

 2月20日(水)にSGアカデミー:未来講座が行われました。今回の講師は、成蹊大学で教鞭を執り、中東の歴史を専門で研究されている佐々木紳准教授です。佐々木准教授は高校生の時に本校校長である大井が部活動の顧問を務めていた剣道部の生徒だったこともあり、教え子に当たる関係にありました。学生時代に中東の歴史に興味を持ち、東京大学でトルコ語を学んだ後、イスタンブール大学への留学、東京大学大学院を経て、現在の職に就いています。今回は「世界史と日本史に垣根はない」というテーマでご講演をいただきました。

 

    

 

 中東と聞くと、「アラビア語」、「イスラム教」、「砂漠」といった様々なイメージが湧くかと思いますが、皆さんはいかがでしょうか。中東とはどういう国かをきちんと説明できる人はあまり多くないと思います。こうした知らないことを「知ろうとする」ことが大事だと佐々木准教授は話していました。

 

 また、歴史を研究する際は、特定の国や地域だけを調べるのではなく、他国との関係や世界との関係の中で考えることが重要だという話も印象的です。中東は、実は古くから日本とのつながりがありました。例えば、『竹取物語』においてかぐや姫が阿部右大臣に持ってくるように命じた「火鼠の皮衣」(ひねずみのかわごろも)は中東で取れたアスベスト=石綿のことで、高校生は授業で『竹取物語』の学習をしたばかりだったので、大いに興味を惹いたようでした。また9世紀の中東の文献に日本のことが書かれていたり(「ワークワーク」=倭国)、奈良時代に行基が作った日本地図(行基図)が世界地図(オルテリウスの地図)で引用されたりしたことから、中東の歴史と日本の歴史の関係性が浮き彫りになってきます。このように様々な視点から調べてみると、中東にも興味が湧いてきます。

 

 最後に、「歴史は総力戦」という言葉をいただきました。これは、歴史学を学び、研究を深めていくには、歴史に関する知識だけではなく様々な分野の知識を活用することで新たなことが見えてくるということです。こうした「比較する力」、「つなげる力」を使って、中高生にも日々の学習や探究活動に取り組んでもらいたいものです。佐々木伸准教授、今回は貴重なお話をありがとうございました。