2022.11.16
インターハイで見事優勝を収めた高校女子ハンドボール部にインタビューをしてきました!(2022/9/10)

先日、高校女子ハンドボール部が令和4年度全国総合体育大会(インターハイ)において、悲願の優勝を収めました。

そこで今回、ハンドボール部の佐藤奏吉先生(高校女子ハンドボール部監督)、東瑚華さん(キャプテン、3年)、石坂美紀さん(部長、3年)湯浅栞奈さん(副キャプテン、3年)に話を聞きました。

  • 優勝した時のお気持ちは?

    

嬉しい気持ち、喜びが爆発しましたが、しばらく現実を受け入れられなかったです。

直近の関東、全国で、負けているチームがブロックに入っていたため、監督就任5年で

優勝できると思っていなかったからです。

去年選抜で準優勝した時は、選手の経験値や、やってきたことへの手応えも感じていて大会前から日本一を狙える自信がありました。そのため去年のIHでは優勝を狙いに行きましたが、怪我人の穴を埋めることやメンタル面の改善などが追いつかず、最後の最後で勝ちきれませんでした。

早い時期にある選抜はこれまで思ったようにいくパターンが多かったですが、IHは4回の出場の中で今まで1回しか勝てていませんでした。

そこから、何が足りなくて夏が勝てないのか考えて対策してきました。これまでの選手は3年生にとって最後のインターハイになるので色々なプレッシャーや結果を出したいという思いから気負って本来の力を発揮できずに勝ちきれない印象でした。マインドセットの工夫で「夏こそ、結果や迷いなどの雑念を祓い、目の前の1プレー、1プレーに集中する」「勝たなきゃではなく勝つためにどうするか」に専念することで、プレッシャーとの戦いに強くなりました。

 

来年で創部60年、IHで54回目の出場となり、これまでの最高が準優勝だったため、歴史もある中でのプレッシャーを感じていました。

最初は色々苦労もありましたが、勝った時はこれまでの卒業生とか先代の監督の顔が浮かびました。

  • 優勝の決め手、勝因は?

旧チームから佐藤監督が最初から見てくれていたチームでした。

なので監督の存在と、いろいろなアドバイスをくれた一個上の先輩達の存在も大きかったです。

 

これまでとはかなりメンバーも入れ替わったため、最初は経験不足で個々の選手の能力には差がありました。順調にトレーニングなどを重ね、自分達のスタイルを模索していましたが、完成には程遠い状態でした。

 

ベスト8がけで鹿児島県代表(昨年のインターハイで敗戦)に接戦で勝って一応目標は達成し、メダルをかけて京都府代表(今年の選抜で敗戦)のチームと戦いました。前半はビハインドから始まってしまいましたが、選抜以降の合宿やトレーニングで得た自信、経験が大きかったのか慌てることなく順調に試合を進めることができました。

 

(石坂さん)

試合するごとに自分達で声をかけあえるようになり、ミスを取り戻せるようになってきたことが優勝へ繋がったと思います。

(佐藤監督)

勝因はフィジカルとメンタルだと思います。

最初から日本一を目指せるとは思っていなかったですが、大会で試合を通じて成長して、チームのピークを持ってきた時に可能性があると思っていました。

厳しいゲームを乗り越えることで自信が確信に変わり、自分たちを信じてやるべきことを泥臭く最後までやり続けました。

そこを見事に体現してくれました。

 

  • 自分達のチームの特徴はなんですか?

(東さん)

エースがいないので、誰に頼るとかじゃなく全員で戦えるのが強みだと思います。

自分達のハンドボールは選手それぞれが「当たり前のことをしっかりやる」戦い方です。

 

このチームでは選手が毎年スローガンを決めていて、小さな力も積み重なれば強大な力になることのたとえである、「水滴石穿(すいてきせきせん)」というのが今年のスローガンでした。

 

  • 普段の練習で意識していたことはなんですか?(どんなチームでありたいですか?)

(湯浅さん)

状況をひっくり返すような才能ある選手がいないので、「再現性のあるプレーを」と監督がよく言っていて、体が小さい分、判断を大事にして、相手や状況に合わせたプレーをみんなで意識していました。

(佐藤先生)

「再現性のあるプレー」を実現するためにおこなっていたことは、

たまたま点が取れる、では先に繋がらないということをしっかり念頭に置き、

判断力を重視して練習してきました。

「再現性のあるプレー」を実現するためにおこなっていたことは、

シュート練習でも、いろいろなシチュエーションを作って、戦術とリンクさせたり、

スプライザーという映像分析アプリを使い、自分達のプレーの客観的な分析や対戦相手の分析をしたりしてきました。

 

  • インターハイを戦っていく中で、チームとして成長したことはありますか

(東さん)

選抜で負けた相手と戦ったときに、前半負けていても誰も諦めなかったことが印象に残っています。

関東大会で負けた時には、全員が勝てると思うような強いプレーはできていなかったですが、今大会では全員が声をかけあっていて、全員の勝ちたいという気持ちが出てきていたように思えて、「一つになるってこう言うことなんだな」と感じました。

 

  • 今回の経験が、今後(個人個人で)どんなところで生きていくと考えますか?

(湯浅さん)

まず国体です。みんなとできる最後のハンドボールになるので、IHで得た経験を発揮できるようにしたいと思います。

怪我人も出ていますが、少しでも国体前までには全員が初心に帰って、やるべきことを整理し、チームとしての共通認識を固めていきたいです。

(石坂)

国体でも優勝を狙っているので、入っているメンバー全員がいつ試合に出ても戦えるようにしっかり準備したいです。

 

(東さん)

IHが終わってハンドボールを大学でやらない人もいると思いますが、ハンドボールでなくてもこれからやることに自信を持ってやっていきたいです。

優勝してもそこで満足せずに、もう一回挑戦する気持ちを忘れずに頑張りたいです。

 

(佐藤監督)

これまでIHにかけてきました。

自分も選手たちも、こう言う成功体験をしたからこそ、周りからの見られ方も変わってくると思うので、立ち振る舞いや取り組みが大切になってくると思います。

選手たちは、入学した時にコロナで悩まされてきた代であり、練習中もマスクをし、合宿も制限されたりとしんどい思いをしてきました。1年生の時はIH自体も中止になっていました。

でもその分、できる限りのトレーニングは日本一やっている自信があります。

 

ここでの経験、仲間と力を合わせて何かする経験は社会に出ても活かせるはずです。

2年半という時間の制約がある中で、いかにいい形に持っていけるかを考え、挑戦し続けてきたこの経験は、必ず大きな財産になると思います。