令和7年2月27日、和洋女子大学人文学部こども発達学科の上村明准教授をお招きして「キャリアアップ講座」(大学出前授業)が行われました。上村先生は子どもの運動発達や遊びについて研究されています。講座のテーマは「運動と遊びの科学――鬼ごっこはなぜ面白いのか」。中学3年生から高校2年生までの10名が参加し、運動遊びを科学の視点から学びました。
人間の様々な器官は年齢によって発達が異なります。授業では乳幼児の運動発達の特性についてお話がありました。「神経系が発達する10歳ごろまでに、運動遊びに多様な動作を取り入れることで、効果を最も高められる」という特徴が、運動と発達の関係にはあります。遊びのなかでそれらの発達の特徴を効果的に引き出せるようにすると、子どもの動きの基礎を作り、運動の分化と統合を促します。運動遊びは子どもにとって「楽しい遊び」の要素が入っていると、運動能力の向上や身体活動の促進だけでなく、「生きる力の基礎」を培うことにも繋がります。
授業の後半では、鬼ごっこを運動遊びの具体例として取り上げ、運動遊びの構造を学びました。構造とはルール、身体の動き、心の動きを指します。参加者は手だけを使った鬼ごっこを体験して、遊びの構造を体感しました。また、子どもたちの鬼ごっこの動画を視聴して、年齢による違いを考察しました。4歳児の鬼ごっこでは、身体の切り返しができず、同じ方向にぐるぐるまわってしまいます。かわいらしい姿を見て、楽しみながら子どもの遊びについて学びました。
参加者からは「運動能力が向上する秘訣はあるのか」という質問が出ました。先生からは「子どもにスポーツを教える際には、自由度が高く活動量が多いこと、子どもと一緒に考えることが大切」というお話をいただきました。
参加した生徒たちの感想の一部を紹介します。
・子どもに「何の遊びをしよう」ときっちり教えるのではなく、ある程度教えて自由に遊ばせるのが良いことを初めて知った。また、幼児期の運動で運動神経が大抵決まるということにはとても驚いた。「幼稚園で過ごした時間はとても重要だったんだな」と思った。先生が明るく面白い方で楽しかった!!
・子どもはインプットする遊びよりも自己決定が多い遊びの方が運動神経が上がることがわかった。一方で、子どもの遊びが同じになってしまっていたら大人が案を出し、子どもの遊びの幅を広げてあげる必要があることも知った。
・鬼ごっこの質などあまり考えたことがなかったので、考えることができてよかったです。「しっぽ取り」の動画では4歳の子が同じ方向に回っていて、先生からその理由をうかがって納得しました。すごく面白くて、受けていてすごく楽しい講座でした。
運動を通じて生きる力を育む大切さを学んだこの授業は、生徒たちにとって刺激的で貴重な体験となりました。
進路指導部では、今後も様々な企画を通して生徒たちの学びと成長をサポートしていきます。